前回、ポアロの短編でこんなことを書いた。
なんかイマイチやな~
なのでクリスティが生んだ、隠れた名キャラ・トミー&タペンスの短編にも、正直あまり期待はしていなかった。
で、なんとなく読んでみたところ・・・
これが結構面白かったんですよ!
ええ奥さん!
(この言い回し好き)
トミタぺのドタバタした感じや、会話の多さは、長編だと気になることがあった。
でも短編だと、それが実に良い感じのスパイスに感じる。
まるで、1時間のコミカルなドラマを観ているようなのだ。
そんなトミタぺの短編集「おしどり探偵」さっそくみていこう
Contents
アガサクリスティ(短編)「おしどり探偵」 内容&感想
「おしどり探偵」はこの15編からできている。
- アパートの妖精
- お茶をどうぞ
- 桃色真珠紛失事件
- 怪しい来訪者
- ★キングを出し抜く
- 夫人失踪事件
- 目隠しごっこ
- 霧の中の男
- パリパリ屋
- ★サニングデールの謎
- ★死のひそむ家
- 鉄壁のアリバイ
- ★牧師の娘
- 大使の靴
- ★★16号だった男
※★のついた話はネコ缶おすすめ
ではひとつずつ簡単にみていこうな。
「おしどり探偵」 アパートの妖精
平和な毎日に、ちょっと退屈気味のタペンス。
そんな彼女に、妖精が写っているという写真をトミーが見せたところ、不思議なことが起こる
「秘密機関」でおなじみの、カーターが探偵業の仕事を持ってきたのだ。
探偵業の広告を出しながらも、断念したシオドア・ブラントの代わりという事だが、大喜びする2人。
願いをかなえてくれる妖精のおかげか?
「おしどり探偵」 お茶をどうぞ
トミタぺ探偵業の初仕事。
行方不明の女性を探してほしいという、探偵らしい仕事に大張り切りの2人。
だが、なかなかの難事件に冷や汗をかく顛末。
ラストはちょっと驚く。
「おしどり探偵」 桃色真珠紛失事件
キングストン・ブルース家に、泊りに来ていたベッツ夫人。
一夜明けると、彼女のピンクの真珠がなくなっていた!
このことを公にしたくないキングストン・ブルース家は、トミタぺに事件を依頼。
だがこの事件を依頼に来た、娘の様子がなんだか妙で・・・。
24時間以内に、真珠と犯人を見つけなければならない難事件に、アタフタする2人が見もの。
「おしどり探偵」 怪しい来訪者
これが来たら注意しろと言われていた「ロシアの切手が貼られた青い封筒」が2人の元に届く。
緊張する2人の元に、突然の来客が。
何者かが家を荒らしているので、来てほしいとのこと。
タイミングが良すぎると、いぶかしみながらも、依頼を受けた2人を待っていたものは・・・。
ラストのトミーのセリフがナイス。
「おしどり探偵」 キングを出し抜く
「ハート3枚で12回 スペードのA キングを出し抜く必要あり」
という謎の広告を発見。
これは怪しい逢引きの合図では?
というタペンスの勘で、「スペードのA」という店に行った2人。
だがなんと2人は、ここで殺人事件に遭遇してしまう・・・。
衣装のイメージがつかみにくいけど、古き良きイギリスって感じがする話。
「おしどり探偵」 夫人失踪事件
冒険に行っている間に、婚約者が行方不明になったという、探検家からの依頼。
誘拐事件か?
ほかの男と駆け落ちか?
と怪しんで捜索した2人を、待ち構えていた結末は・・・。
こんなオチはポアロには似合わないけど、トミタぺだと全然OK。
「おしどり探偵」 目隠しごっこ
トミタぺが遊びで目を隠し、深緑の眼鏡をかけて出かけていた。
その時、出会った男が、なんと目が見えない(ふりをしていた)トミーを誘拐していって・・・。
でも、冷静に悪と対決してくれるのは、やっぱりこの人。頼りになるな。!
「おしどり探偵」 霧の中の男
バーで、有名女優に出会った2人。
探偵をやっていると言うと、その女優が突然こう言った。
「泊まっている家に来てほしい」
霧の中、その家に行ってみると、なんとその女優は殺されていた!
途中で会った、女優に会いたがっていた怪しい男が、本当に犯人なのか?
「霧」が良い演出をしていてヨシ。
「おしどり探偵」 パリパリ屋
偽札が大量に見つかっていた。
レイドロウ少佐が怪しいと言われ、潜入捜査の依頼を受けた2人。
さっそく少佐夫妻と顔見知りになったトミタぺ。
この2人が犯人だという、決め手がなくて・・・。
何のことはない、偽札のこと(なんでそう呼ぶのかは読んでみよう)
マルグリートにイラっとする人多いやろうな・・・。
「おしどり探偵」 サニングデールの謎
セッスル大尉が、ゴルフ場で他殺死体で発見。
大尉と途中まで、ゴルフをしていたホラビーがこう言った。
『「茶色の服を着た女」が、セッスルと立ち話をしていた。
その後、セッスルの様子がおかしくなった・・・』
その女性が捕まったが、彼女は事件と関係ないようで・・・。
ポアロばりの、トミーの名推理が見られる。
「おしどり探偵」 死のひそむ家
自宅に3回も、ヒ素入りチョコが送られてきた・・・という依頼があった。
だがそのチョコの箱は、どうも家のだれかが送ったようだという事。
急いでその家に行ってみた2人。
だが行ってみると、なんとイチジクのサンドイッチで、依頼人を含む4人が死んでいた・・・
タペンスが、実は元看護師っていう設定が、ここでようやく生かされるで!
「おしどり探偵」 鉄壁のアリバイ
ジョーンズが密かに恋をするユーナからこう言われた。
「私が誰にも崩せないアリバイを作ったら、あなたは何を賭ける?」
ユーナと結婚したいジョーンズは、どうしてもユーナの作ったアリバイを崩したい。
この超難解なアリバイ崩しを、2人に依頼したのだが・・・・。
だが、クリスティの設定のうまさと、トミタぺのコンビが、物凄く良い感じに仕上げてくれてるで!
「おしどり探偵」 牧師の娘
相続した家にポルターガイストが出たという依頼。
だがこの家を買いたいという男性を断ってから、それは現れるようになったということ。
亡くなった元の持ち主が、この家に財産を隠していたのかもしれないと、トミタぺが暗号解きに挑む。
ホームズのようにすんなりいかず、2人で大苦戦するところが、トミタぺらしくてヨシ
「おしどり探偵」 大使の靴
アメリカ大使のランドルフが2人の元に訪れてこう言った。
「船旅の最中、旅行鞄がウェストラム上院議員のものと、取り違えられられるという事が起こった。
だが幸い相手が気づき、召使が届けに来てくれた。
だが、昨日偶然ウェストラム上院議員に会った時、そのことを言うと、なんと彼は、そんなことは全く知らないと言ったのだ!」
これは一体どうしたことなのか・・・
でも入っていたのはなんと「靴」(タイトル通り)
「?」と誰もが思う中、トミーが抜群の冴えを見せてくれる。
「おしどり探偵」 16号だった男
トミタぺに探偵仕事を依頼したカーターが、いよいよ最後の仕事を告げた。
秘密諜報部の大ボス・コードネーム16号が、いよいよここに乗り込んでくるというのだ。
警戒しながら待っていた2人に、いよいよその日が来た。
警察に協力をあおぎ、万全の対策を立て対応していた。
だがなんとその包囲網をかいくぐり、タペンスと共に16号は姿を消してしまい・・・
ハラハラさせてくれるが、ラストは安定の(超)大団円。
「NかMか」と同じく、アルバートはここでもいい仕事してくれる
アガサクリスティ(短編)「おしどり探偵」 まとめ
ネコ缶評価
トリックそのものは、大したことがないものが多い。
でもそんなことが全く気にならないくらい、トミタぺの2人がキュートでコミカルにしあげてくれている。
ちょうど14話あるし、1クールいける。
長編はスペシャル編と映画な。
また、2人が探偵の物まねを(なんとポアロの物まねもしてくれる!)しているところもあって、ミステリーマニアにはサービス満点な1冊だ。
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