スパイ&スリラーものが意外と好きなクリスティ。
彼女が作った「スパイ&スリラー」専用キャラがトミー&タペンス(以下トミタぺ)だ。
デビュー作の「秘密機関」では「二人合わせて45歳にもならない」ほど若かった2人。
「秘密機関」詳しくはこちら
2作目「NかMか」では、なんと2人とも40歳を超えて、いつの間にか子供もできていたうえ、その子供も成人していた。
トミタぺも、ちゃんと年取ってたってことか
もちろん年だからと「危ない仕事」を、隠居する気はさらさらない2人。
時は1940年、第2次世界大戦がヨーロッパでは始まっていた。
ふたりの仕事も危険度を増す。
トミタペは、今回どんな仕事を請け負うのか?
早速みていこう!
Contents
アガサクリスティ(トミー&タペンス)「NかMか」あらすじ
1940年春。
戦争がすでに始まっており、トミタぺの2人も、仕事にあぶれてどんよりとした生活をしていた。
そんな中、あの懐かしいカーターから仕事の依頼があった。
カーターの仕事はこんな内容だった。
手がかりは、死んだ情報部員が残したこの言葉しかない。
・NかM
・ソング・ス―ジー
Nは男のスパイ、Mは女スパイ。
ソング・スージーは「無憂荘」である可能性が高い・・・というところまでは突き止めている。
危険な仕事ではあるが、快諾したトミー。
だがカーターはこんなことを言った。
仕方なくタペンスには嘘を言い、1人で無憂荘にきたトミー。
個性豊かな、泊り客に挨拶をすると・・・
なんとそこにはタペンスの姿が!
カーターとの話をすっかり聞いており、裏をかいて(偽名で)すでに泊まっていたとのこと!
バタバタと、久しぶりの冒険がこうして始まった・・・。
トミー&タペンスはスパイを見つけることができるのか?
無憂荘の隣に住むヘイドックは何者なのか?
中年になったトミタぺの冒険物語!
アガサクリスティ(トミー&タペンス)「NかMか」 感想
前回の「秘密機関」は、若い2人がドタバタと、素人感丸出しではしゃいだ感じがあった。
だが「NかMか」は、2人が年を取った+クリスティの力量が上がったという事だろう。
かなり落ち着いて、締まった仕上がりになっている
「スタイルズ荘の怪事件」の、次に出した本なんやで!
トミタぺは、あのマープルよりもだいぶ先輩なんやな。
内容と見どころを詳しくみていこう。
「NかMか」見どころ1 ミステリーの後のサスペンス
物語のスタートから、289ページまでは、こんな謎を含むミステリー形式で話が進んでいく。
まるでクローズドサークルで、犯人当てをしているように話は進んでいくのだ。
どう考えてもそんな怪しい(ヤバいことしてるスパイ)はいないように思えるのだが、そこは小説。
やはり登場人物の中に、ちゃーんとスパイはいるのだ。
スパイの1人(まずはN)が解ってからは、急にサスペンスになっていく。
あまり言うとネタバレになるが、トミーがその犯人に捕まり殺されそうになるのを、タペンスが必至に救出に向かうのだ。
この流れが、手に汗握るサスペンス。
この流れが「NかMか」の最大の見どころだろう。
最後は例によって大団円になるが、懐かしいキャラも登場して、2人をフォローしてくれるので楽しみにしていよう。
「NかMか」見どころ2 戦争の影
「NかMか」が書かれたのは、1940年。
ヨーロッパでは、もう第2次世界大戦が始まっている。
ナチスも猛威を振るい始めていたことだろう。
そのせいだろうか。
この戦争が、トミタぺにも暗い影を落とす。
以前の「秘密機関」は第1次世界大戦の4年後とはいえ、まだまだ戦争に対して無邪気に構えていたところがあった若い2人。
今回はこんなことを言っているのだ。
(トミー)「前の戦争の時とは気分が全然違う」
(タペンス)「いまの私たちには、戦争の悲惨さとか、むなしさおぞましさ・・そういったものが見て取れるのよ。
昔は若くて思い至らなかった、そういったいろいろなことが・・・
「NかMか」P114~115
そのせいか、与えられた仕事に対してもこんなことを言ったりもする
「以前の仕事(秘密機関での仕事)でどんなにワクワクさせられたか(略)どんなに私たちが夢中になったか・・・。
(略)どうして今度は同じようにいかないのかしら「NかMか」P114
クリスティの作品は、時々こんな風に戦争の影が見えることがある。
「NかMか」は、第2次世界大戦を舞台にしているから、リアルさが増す。
秘密機関には無かった、ちょっと暗い影を感じるのは、トミタぺが大人になったというのもあるが、ネタもとが戦争だからかもしれない。
クリスティの不安や、敵国ドイツをどう考えていたかなども解って、興味深い作品だ。
アガサクリスティ(トミー&タペンス)「NかMか」まとめ
ネコ缶評価
スパイ小説を、好きだから書いてます!
楽しく書いてます!
という感じにあふれていた「秘密機関」に比べると、構成や読ませ方を意識して書いていることが解る。
前回同様「おいおい、うまくいきすぎじゃね?」と思う所が、なきにしもあらず。
でも、まだまだ現役の、トミタぺ次回作に期待やな。
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