学生アリスシリーズ

有栖川有栖「江神二郎の洞察」(学生アリスシリーズ第5段)あらすじ、感想、ネタバレまとめ

ミステリーに出てくる探偵が好きになった人は、その探偵の人となりが知りたくなる・・・という法則がある。

その法則にのっとれば、学生アリスシリーズが好きになった人は、江神のことがもっと知りたくなるだろう。

そんなファンのために書かれたもの、それがこれ。

 

「江神二郎の洞察」

 

「江神二郎の洞察」では、謎解きよりも江神を中心とするEMC(英都大学推理小説研究会)のメンバーのやりとりや、絆などが読み込める。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
それだけやないで。
学生ならではの、春風のような自由な時間も伝わってくるんや。

学生時代に、帰ったような気分にもさせてくれるで!

 

そんな「江神二郎の洞察」いってみましょう!

江神二郎の洞察(学生アリス) あらすじ

江神二郎の洞察は、1冊のページ数が多く、話が多く入っている。

なのでサラッとあらすじ書いていく。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
気になるとこだけ読んだってや!

江神二郎の洞察 紹介

「江神二郎の洞察」は学生アリスシリーズ初の短編集。
構成はこうなっている

瑠璃荘殺人事件
ハードロック・ラバーズ・オンリー
焼けた線路の上の死体
桜川のオフィーリア
4分間では短すぎる
開かずの間の怪
二十世紀的誘拐
除夜を歩く
蕩尽に関する一考察

「瑠璃荘~」で、アリスが入部するところから物語が始まる。
アリスが入部するきっかけも、EMCらしくていい

「桜川のオフィーリア」が「月光ゲーム」以降で、「蕩尽に関する一考察」はアリス入部から1年たって、麻理亜が入部する。

そんな流れになっている。

江神二郎の洞察 話のざっとしたあらすじと感想

長いので、サクッとあらすじ、感想は書いていく

瑠璃荘殺人事件

アリス、入部のいきさつと、江神初の推理。
望月の下宿先(瑠璃荘)で「ノート盗難事件」が起こる。
その犯人として望月が疑われているのだ!

真犯人を見つけ、望月の疑いを晴らそうと団結するEMCのメンバー。
時間のトリックと、盲点をついた犯人のトリックと動機は?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
後輩がドタバタしてる中、最後はきちっと決めてくれる江神。そんなEMCスタイルはここからスタート。

 

ハードロックラバーズオンリー

名前の通り、ハードロックが好きな人が集う喫茶店。
アリスはそこで一人の女性と出会い、親しくなる。

なのに大通りで呼び止めた時は、なぜかアリスのことを無視して行ってしまう彼女・・・。

彼女に何があったのか?その理由を、江神は鋭くそして優しくつぶやく。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
江神の想像力をベースとした思いやりの一言。思わずハッとさせられるで。

焼けた線路の上の死体

EMCのみんなで、望月の実家に遊びに行くことになった。
はしゃぐメンバーだが、そこでなんと鉄道事故に遭遇。
しかもそれは、どうやら他殺らしい・・・

学生アリスシリーズでは、珍しく時刻表などを使ったミステリー。
作者・有栖川有栖氏が初めて世に出た作品でもある。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
鮎川哲也「黒い白鳥」を思い出したんはネコ缶だけ?

 

桜川のオフィーリア

EMCを作ったという、石黒操という人物が初登場。
その石黒が、EMCに相談事を持ち込む。

石黒操
石黒操
17歳のとき川で死んだ同級生の女の子がいる。
その子が発見される前、川に浮かんでいた状態の写真を、俺の友人が持っている・・・。 

この謎を解いてほしいという石黒。
先輩の依頼に応えたいEMCの出した答えは?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
少々センチメンタルな内容。
有栖川有栖はたまにこういう作品が出んな。

 

四分間では短すぎる

駅で、アリスは隣に並んだ男性が、不思議な会話をしているのを聞く。

隣の男性
隣の男性
四分間しかないので急いで。
靴も忘れずに・・・いや・・・Aから先です。
 

この会話を元に、EMCのメンバーで、何があったのか白熱した議論がもたれる。
その時テレビから流れてきたニュースとは?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
これぞEMC!知的な(オタクな)会話がたまらんで!

 

開かずの間の怪

花沢医院という廃墟となった病院で、幽霊が出ると聞いたEMCは、真相を確かめに行く。

途中で体調を崩した織田が抜けてから、花沢医院でおかしなことが起こりだす。

江神
江神
これは織田のいたずらだぞ! 

と叫ぶ部長。

みんなで織田の追跡を始めるも・・?

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
オチが秀逸。ちょっと背筋が寒うなる

 

二十世紀的誘拐

望月と織田はゼミのコンパの後、酒巻先生の家に行く。
すると次の日、酒巻先生からこんなことを言われる

酒巻先生
酒巻先生
絵はあずかった。千円用意しろ・・・・・・という脅迫状をもらった。
協力してほしい。 

成績のために協力するEMC。身代金を持ち、京都駅まで行くが・・・。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
千円の身代金を持って、真面目に犯人に対応するEMC。この結束がウラヤマシイ

除夜を歩く

1988年大みそか。いろいろあった1年の終わりを江神と過ごそうと、アリスは江神の元へ。

望月が書いたというミステリーを読んだり、さまざまな話をする2人。
江神の本質に触れようとする、アリスの賢明さがいとおしくなるくらいだ。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
江神とアリスの、純粋な会話だけで成り立つ話。
なかなか江神が、自分のことを話してくれないもどかしさがいい。

 

蕩尽に関する一考察

年は明け、アリス2年生の春。
妙に気前のいい古本屋の店主がいた。

本をタダでくれたり、居酒屋などで店にいた全員におごったりするのだ。

それは一体何のため?
麻理亜入部のいきさつも書かれた章。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
麻理亜入部の話。麻理亜はこの話以前にも、ちょこちょこほかの話に姿のみ出てるで。

 

江神二郎の洞察(学生アリス) 感想

この本に一貫してネコ缶が感じることはこれだ

「彼らはなんと、豊かで贅沢な時間を過ごしていることか」

何かに熱中している者たち同士が集まり、時間も気にせず話合う。

大人から見たら「くだらない」と、一笑されてしまいそうな内容を熱く語り合うのだ。

これぞ若者の特権。

そして「妙に惹かれる人間」がそこにいる。これも本当にウラヤマシイ。

若い時にしか、こんな豊かな時間は持てない。

ネコ缶さとこ
ネコ缶さとこ
江神とアリスの間柄を、もう少し対等にしたもんが作家アリスシリーズの、火村と有栖川なのかもな。

出来るなら、学生アリスシリーズは続けてほしいと、ネコ缶は切に思う(作家アリスシリーズもいいが)。

卒業して、EMCのメンバーで探偵事務所を開いている・・・という感じの話を、読んでみたいものだ。

江神二郎の洞察(学生アリス) 感想 まとめ

ネコ缶の評価

江神次郎の洞察は、ミステリーはさほど難しいものではない。
そこまで複雑で長い話もない。

あくまで「EMCファンのために書かれたもの」だ。

なのでここから読むことはおススメ出来ないし、江神氏&EMCファンでなければ楽しめない。

そんな「ファンのために書かれた本」みたいなミステリー。EMCファンの方はぜひどうぞ。

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