ミステリーに出てくる探偵が好きになった人は、その探偵の人となりが知りたくなる・・・という法則がある。
その法則にのっとれば、学生アリスシリーズが好きになった人は、江神のことがもっと知りたくなるだろう。
そんなファンのために書かれたもの、それがこれ。
「江神二郎の洞察」
「江神二郎の洞察」では、謎解きよりも江神を中心とするEMC(英都大学推理小説研究会)のメンバーのやりとりや、絆などが読み込める。
学生ならではの、春風のような自由な時間も伝わってくるんや。
学生時代に、帰ったような気分にもさせてくれるで!
そんな「江神二郎の洞察」いってみましょう!
Contents
江神二郎の洞察(学生アリス) あらすじ
江神二郎の洞察は、1冊のページ数が多く、話が多く入っている。
なのでサラッとあらすじ書いていく。
江神二郎の洞察 紹介
「江神二郎の洞察」は学生アリスシリーズ初の短編集。
構成はこうなっている
瑠璃荘殺人事件
ハードロック・ラバーズ・オンリー
焼けた線路の上の死体
桜川のオフィーリア
4分間では短すぎる
開かずの間の怪
二十世紀的誘拐
除夜を歩く
蕩尽に関する一考察
「瑠璃荘~」で、アリスが入部するところから物語が始まる。
アリスが入部するきっかけも、EMCらしくていい
「桜川のオフィーリア」が「月光ゲーム」以降で、「蕩尽に関する一考察」はアリス入部から1年たって、麻理亜が入部する。
そんな流れになっている。
江神二郎の洞察 話のざっとしたあらすじと感想
長いので、サクッとあらすじ、感想は書いていく
瑠璃荘殺人事件
アリス、入部のいきさつと、江神初の推理。
望月の下宿先(瑠璃荘)で「ノート盗難事件」が起こる。
その犯人として望月が疑われているのだ!
真犯人を見つけ、望月の疑いを晴らそうと団結するEMCのメンバー。
時間のトリックと、盲点をついた犯人のトリックと動機は?
ハードロックラバーズオンリー
名前の通り、ハードロックが好きな人が集う喫茶店。
アリスはそこで一人の女性と出会い、親しくなる。
なのに大通りで呼び止めた時は、なぜかアリスのことを無視して行ってしまう彼女・・・。
彼女に何があったのか?その理由を、江神は鋭くそして優しくつぶやく。
焼けた線路の上の死体
EMCのみんなで、望月の実家に遊びに行くことになった。
はしゃぐメンバーだが、そこでなんと鉄道事故に遭遇。
しかもそれは、どうやら他殺らしい・・・
学生アリスシリーズでは、珍しく時刻表などを使ったミステリー。
作者・有栖川有栖氏が初めて世に出た作品でもある。
桜川のオフィーリア
EMCを作ったという、石黒操という人物が初登場。
その石黒が、EMCに相談事を持ち込む。
その子が発見される前、川に浮かんでいた状態の写真を、俺の友人が持っている・・・。
この謎を解いてほしいという石黒。
先輩の依頼に応えたいEMCの出した答えは?
有栖川有栖はたまにこういう作品が出んな。
四分間では短すぎる
駅で、アリスは隣に並んだ男性が、不思議な会話をしているのを聞く。
靴も忘れずに・・・いや・・・Aから先です。
この会話を元に、EMCのメンバーで、何があったのか白熱した議論がもたれる。
その時テレビから流れてきたニュースとは?
開かずの間の怪
花沢医院という廃墟となった病院で、幽霊が出ると聞いたEMCは、真相を確かめに行く。
途中で体調を崩した織田が抜けてから、花沢医院でおかしなことが起こりだす。
と叫ぶ部長。
みんなで織田の追跡を始めるも・・?
二十世紀的誘拐
望月と織田はゼミのコンパの後、酒巻先生の家に行く。
すると次の日、酒巻先生からこんなことを言われる
協力してほしい。
成績のために協力するEMC。身代金を持ち、京都駅まで行くが・・・。
除夜を歩く
1988年大みそか。いろいろあった1年の終わりを江神と過ごそうと、アリスは江神の元へ。
望月が書いたというミステリーを読んだり、さまざまな話をする2人。
江神の本質に触れようとする、アリスの賢明さがいとおしくなるくらいだ。
なかなか江神が、自分のことを話してくれないもどかしさがいい。
蕩尽に関する一考察
年は明け、アリス2年生の春。
妙に気前のいい古本屋の店主がいた。
本をタダでくれたり、居酒屋などで店にいた全員におごったりするのだ。
それは一体何のため?
麻理亜入部のいきさつも書かれた章。
江神二郎の洞察(学生アリス) 感想
この本に一貫してネコ缶が感じることはこれだ
「彼らはなんと、豊かで贅沢な時間を過ごしていることか」
何かに熱中している者たち同士が集まり、時間も気にせず話合う。
大人から見たら「くだらない」と、一笑されてしまいそうな内容を熱く語り合うのだ。
これぞ若者の特権。
そして「妙に惹かれる人間」がそこにいる。これも本当にウラヤマシイ。
若い時にしか、こんな豊かな時間は持てない。
出来るなら、学生アリスシリーズは続けてほしいと、ネコ缶は切に思う(作家アリスシリーズもいいが)。
卒業して、EMCのメンバーで探偵事務所を開いている・・・という感じの話を、読んでみたいものだ。
江神二郎の洞察(学生アリス) 感想 まとめ
ネコ缶の評価
江神次郎の洞察は、ミステリーはさほど難しいものではない。
そこまで複雑で長い話もない。
あくまで「EMCファンのために書かれたもの」だ。
なのでここから読むことはおススメ出来ないし、江神氏&EMCファンでなければ楽しめない。
そんな「ファンのために書かれた本」みたいなミステリー。EMCファンの方はぜひどうぞ。
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