昔の戦隊ものは、4人の男性+1人の女性というパターンが多い。
なぜかはよく解らないけど、男性5人だと華がないから、1人くらい女性を入れておけ・・・みたいな感じなのか。
その戦隊もののチーム編成通りになった、推理小説研究会第4作目「女王国の城」いってみましょう!
Contents
有栖川有栖(学生アリス)「女王国の城」あらすじ
英都大学・推理小説研究会の部長、江神が謎の宗教団体「人類協会」の調査に行ったきり、帰ってこない。
心配した部員たち(アリス・麻理亜・望月・織田)が「人類協会」に探しにいくも、なぜか会わせてもらえない・・・。
同じ宿に泊まっている、元刑事・椿と、UFOマニア・荒木と共に、何とか人類協会内部に入ることができ、江神とも会える。
よかったよかった・・・と思いきや、今度はなぜか全員が帰らせてもらえないことになる。
協会は、一体何を隠しているのか?そしてついに起こった殺人事件。
11年前の未解決事件もリンクさせながら、人類協会内で死者は増えていく・・・。
有栖川有栖(学生アリス)「女王国の城」 感想
最初に思ったのがこれ。
部員の一人が、怪しげなところに行ったきり帰ってこないこと。
帰ってこない部員を探しに、ほかのメンバーが乗り込むところ。
そしてそこで殺人事件が起こること・・・などである。
と思いきや、全然違う。内容は『女王国の城』のほうが濃い。
なぜなら謎が3重になっているのである。
その3重の謎とはこれ。
11年前の事件の結末
人類協会が隠していることは何なのか?
順番に見ていこう。
連続殺人事件の犯人・動機について
当然のことながら、これがメインテーマ。
大事な証拠品のはずの「ビデオテープ」の扱いが少々雑なことや、しっかり作りこんだアリバイを持っている人物がいないことなど、「ちょっとずさんな、遊びの幅」があり捜査は難航。
なかなか「これ!」という人物まで行きつかない。
11年前の事件の結末
11年前に起こった殺害事件は、殺人なのか?自殺なのか?
決定打がないまま未解決になっている。
それだけでなく、その事件をきっかけに行方不明になった、工藤悦司という男もいまだ見つからない。
旅館で働いている晃子が、駆け落ちを約束したのに、男が来なかった謎もある。
これらは、人類協会内で起こった殺人事件と、おそらく関係があるのは解りつつも、なかな解決の糸口がつかめない。
人類協会が隠していることは何なのか?
そして最後の謎はこれ。
人類協会の人間は、やたらとこう言う
でも●日後に、一体何があるのかは、絶対に言おうとしない。
このもどかしさ、怪しさが、物語の中に、かすかながら常にただよっている。
最後は、これらの複雑にからみあった謎を、江神氏が見事に解き明かしてくれて、大団円になるのがいい。
個人的には、教祖様の「野上公子」をもっと登場させて、卑弥呼様みたいにして、もっと怪しい宗教団体みたいにしたらいいのに~
・・・と思ったが、それは松本清張に任せよう。「神々の乱心」とかな。
有栖川有栖(学生アリス)「女王国の城」 まとめ
ネコ缶の評価
3種類の謎、部員たちの信頼と掛け合い(今回は、短いが3手に分かれるところがある)、伏線の張り巡らし方のすばらしさと、内容がてんこ盛り。
学生アリスシリーズの、フィナーレにふさわしい。
教祖様を、個人的にもっと動かしてほしかったので、そこだけ残念。でも双頭の悪魔と同じくらい、よろしおまっせ!
学生アリスシリーズの順番ってどうなってんの?という方はこちら⇒学生アリスシリーズの順番とおススメはこれ!
本で床が抜けそうになっている方・人に見られたくない本が欲しい方はこちら!⇒読書好きさんを救う「キンドルペーパーホワイト」
[…] 「女王国の城」詳しくはこちらから […]