アガサクリスティはタイトルがうまいなと、うなることが多い。
「満潮に乗って」とか、「もの言えぬ証人」とかな。
内容を読んだら「うまいことタイトルつけたなあ~」と思う事請け合い。
「満潮に乗って」詳しくはこちら
「もの言えぬ証人」詳しくはこちら
今回ご紹介する「死者のあやまち」も、そのなかのひとつ。

アガサクリスティなもんで、当然死者が出るんやけど、その死んだ人・被害者のあやまちってことなんや。
そう言うと、こう思う人が多いかもしれん。
答えを言う前に「あやまち」の意味をみていこう
- 物事のしそこない
- 思いがけずしでかした悪い事、過失
- 男女関係での道徳的な過失
「死者のあやまち」の場合は②や。
②の意味が、読み終わったときに「あーだから”あやまち”やったんやな」ってグッとくるのやで!
そんな秀逸なタイトルの「死者のあやまち」いってみよか!
Contents
アガサクリスティ(ポアロ)「死者のあやまち」あらすじ

ポアロは、推理小説作家のオリヴァ夫人から、ナス屋敷に来いとお誘いを受けた。
殺人事件の犯人捜しのイベントで、優勝者に商品を授けるという役割を頼みたいという事なのだが・・・どうも様子がおかしい。
なんかよからぬことが起こるというか・・・。
出来ればそれを、あなたに未然に防いでほしいと思うんだけど・・
そしてオリヴァ夫人の予感は当たる。
オリヴァ夫人の予感通り、殺人事件の被害者役をしていた少女・マーリンが、なんと本当に殺されてしまったのだ!
14歳の少女を殺すような動機を持つ人間は見当たらないうえ、変質者の犯行でもない・・・。
そしてなぜか、ナス屋敷の新しい主人の奥さん・ハティが同時に行方不明になっているのだ。
ハティは1か月たっても見つからず、殺人の犯人も見つからない・・・。
ハティがマーリンを殺したのか?
ハティはなぜ失踪し、そしてどこへ行ったのか?
突然船でやってきた、ハティの親戚は一体何者なのか?
そしてまたひっそりと第3の事件が起こる・・・。
ポアロと3人の警察が犯人を追う!
アガサクリスティ(ポアロ)「死者のあやまち」あらすじ

「死者のあやまち」まで、「スタイルズ荘の怪事件」から、順番通りアガサクリスティを読み進めた人は、きっとこう思うだろう。
その通り。
「満潮に乗って」「愛国殺人」からは構成のエッセンスを、「ヒッコリーロードの殺人」からは犯人像を、もらっているような感じがするのだ。
「満潮にのって」詳しくはこちらから
「愛国殺人」詳しくはこちらから
「ヒッコリーロードの殺人」詳しくはこちらから
でも、つぎはぎな感じはしないうえ、全く違った作品に仕上げているのは、さすが女王。
「英国庭園の謎」
そんな「死者のあやまち」面白ポイントを書いていこう!
死者のあやまち 面白ポイント1 マーリンの殺害理由が解らなさすぎる

とにかくマーリンが、なぜ殺されたのかがまったく解らないのだ。
大金持ちが殺されたなら、その遺産狙いか?じゃあ親族・家族か?となる。
大人の男性であれば、女性関係を洗う。
これが殺人事件のセオリ―。
だが今回殺されたのは、全く財産を持たない14歳の女の子なのだ。
変質者でもないし、友人関係のトラブルもないとなると、もうそこでお手上げ。
マーリンが、何かよからぬものを見たのかと思いきや、別の殺人があったわけではない。
そしてもちろん、何か盗まれていたわけでもない。
ちょっとネタバレだが、物語の最後の最後で「やっぱりマーリンは何かを見ていたのだ」とポアロは解く。
そこで
「だから殺されちゃったんだ~!!!」
と叫ぶ事請け合いだ!
死者のあやまち 面白ポイント2 ハティの失踪理由が解らなさすぎる

とにかくハティが、なんでいなくなったのかが解らなさすぎる。
一つづつ考えられる理由の、見当をつけていこう。
この2つは、だれもがすぐに思いつく失踪理由だ。
でも、ハティがシクラメン色の派手なドレスと、8センチくらいのヒール靴を履いていたので無理。
そしてハティは、建築家のマイケルと仲良しだったが、マイケルはナス屋敷にまだいる。
逃亡は無理やな~。
二人に面識は全くなく、動機がなさすぎ。
逃げたにしても、これまた上記の理由で、1か月も逃げ続けることは無理。
警察が総出で探しまくったが、全く見つからなかった。
・・・という理由で、すべてが却下になってしまう。
でもここに書かれていない、とても単純な理由で、彼女がなぜいなくなったのかが最後に解る。
これもまた、
「そうだったのかあ~(キーッ!!)」
と思う事は確実や。
今回、実はポアロも、この2つの謎に相当悩むのだ。
謎解きのキーマンは、ナス屋敷の元・持ち主フォリアット夫人。
この女性の発言には要注意やで!
アガサクリスティ(ポアロ)「死者のあやまち」まとめ

ネコ缶評価
かなり面白い作品だったのだけれど、この2つで☆マイナス2
- オリヴァ夫人の発言は、ヒントも多いが、ちょっと余分なところも多い
- レッグ夫妻のトラブルは、無くても良い
ラストの20章、わずか13ページで、ポアロが一気に今までの謎解きをする。
ここで一気に、すべての謎が解けるんやけど・・・・ちょっと切なくなるなあ・・・。
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