ネコ缶が独自にまとめている「こんなに面白いのになんで有名じゃないの」シリーズがある。
今回ご紹介する「忘られぬ死」も、これに後一歩のところだった。
だれが犯人でも、おかしくないような容疑者たち。
クリスティお得意の、人間描写が光りまくって、ぐいぐい引き込まれる。
ただちょっとラストが惜しかったかな・・・。
詳しくみていこう!
Contents
アガサクリスティ「忘られぬ死」あらすじ
絶世の美女で、男性を虜にしてしまうローズマリー。
男性たちにおしまれながら結婚した翌年、とあるレストランで、ささやかなバースディーパーティが行われた。
ショーが終わり、辺りが明るくなった時・・。
なんとローズマリーは、毒入りシャンパンを飲んで死んでいたのだ!
パーティの席にいたのは、彼女を入れて7人。
誰もグラスに触れたものはいない・・・。
インフルエンザが治ったばかりで、ちょっと精神的に不安定だったローズマリー。
彼女の死は、発作的な自殺として終わった。
それから1年・・・。
少しずつ、ローズマリーの過去や、本当はみんなからどう思われていたのかが解ってくる。
- 妻子持ちの男性と、深い仲になっていたこと・・・
- とある人物の秘密を握って恨まれていたこと・・・
- ローズマリーの夫を、密かに思っていた女性の存在・・・・
そして今年、ローズマリーの夫・ジョージは、なぜかまた同じレストランで、同じメンバーを呼びパーティを行うという。
ジョージは一体、何をしようとしているのか?
そしてローズマリーは、本当に自殺だったのか?
アガサクリスティ「忘られぬ死」 感想
クリスティの作品は、登場人物がとにかく多いことで有名だ。
でも今回の「忘られぬ死」は、登場人物の人数もちょうどいいし、内容も非常に解りやすく読みやすい。
見どころを詳しくみていこう
「忘られぬ死」見どころ1 女性の描写が上手いと改めて思う
何回も言ってきたが、今回も改めて思う。
クリスティは女性の描写が本当に上手い。
今回は4人の個性豊かな女性が登場するが、全員うまく書き分けてある。
ざっと書いてみるとこんな感じだ。
ルースはポアロの秘書のミス・レモンとかな。
「ウェッジエア卿の死」詳しくはこちら
「メソポタミアの殺人」詳しくはこちら
いずれにしても、この4人の女性の感情の動きや行動、言葉のやり取りは、ミステリー抜きにしても引き込まれる。
「忘られぬ死」見どころ2 政治家夫婦の愛
1でも書いたが、アレクサンドラはスティーブンという政治家の奥さんだ。
名門の出で、夫のスティーブンが、出世のために自分と結婚したことも解っている。
でも実は、アレクサンドラは夫の事が大好きなのだ。
よそに女を作った夫に気が狂いそうになりながらも、おくびにも出さない。
そんな中、ローズマリーの容疑者として、夫スティーブンは窮地に立つ。
初めて、自分の愛情をハッキリ伝えるアレクサンドラと、そんな妻に改めて惚れ直すスティーブン・・・・。
「忘られぬ死」見どころ3 この人、覚えてますか?
登場人物の中に「レイス」大佐という人物が出てくる。
・・・皆さん・・この人、覚えてるだろうか。
この「レイス大佐」は、ポアロの友人で、あの「ナイルに死す」でも出てくる人なのだ。
ちなみに「ナイルに死す」はポアロおススメNO1やで!
さらにさらに・・・
ケンプという警部が出てくるのだが、なんとこの人は、バトル警部に似ているとレイスは言うのだ。
レイス大佐は(略)ケンプの部屋で彼と握手を交わしていた。
(略)ケンプにはどことなくあの老齢の警部、バトルを思わせるところがある。
事実、ケンプは長い間バトルの下で働いていた・・・「忘られぬ死」 P241
バトル警部は、クリスティ作品にチョコチョコ出てきてるわき役さんだ。
「ゼロ時間へ」では、結構活躍してくれるで!
「ゼロ時間へ」詳しくはこちら
アガサクリスティ「忘られぬ死」まとめ
ネコ缶評価
殺人は2回でてくるんやけど、1回目のトリックや真相に、あまり触れなかったのが本当に残念。
モチロン犯人は同一人物だ。
でも・・・
と読者に推察させるだけにとどまってる。
このマイナスポイントが無ければ、ネコ缶が独自にまとめてる「こんなに面白いのになんで有名じゃないの」シリーズに絶対入れてた。
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