ポアロものには、恋愛をベースにした殺人事件がいくつかある。
1番有名なのは「ナイルに死す」
「ナイルに死す」は、親友の恋人を奪って結婚した女性が、ストーカー化した親友に新婚旅行に付きまとわれて困惑した挙句、何者かに殺される・・・という話。
ポアロシリーズの中でも、人気の作品やで!
恋愛ものなら、他にも「杉の柩」とか「ホロー荘の殺人」なんかもそうかな。
今回ご紹介するこちらも、恋愛ベースのお話。
「白昼の悪魔」
超美人で元女優のアリーナが、奥さんのいるパトリックと深い仲になり、バカンス地で密会。
その結果、アイリーンが絞殺死体で見つかるというお話なのだ。
こちらもナイルに死す同様「地中海殺人事件」という名前で映画にもなっている。
そんな名作「白昼の悪魔」詳しくみていこう!
Contents
アガサクリスティ(ポアロ)「白昼の悪魔」 あらすじ
レザーコム湾に浮かぶ小島のホテル、ジョリー・ロジャー・ホテルは、この夏もさまざまな階級のバカンス客でにぎわっていた。
女手一つでビジネスを成功させた女性に、おしゃべりな老婦人と従順な夫、牧師・・・などなど。
そんな宿泊客の中で、ひときわ目を引くのが、元女優のアリーナ・マーシャル。
彼女は美人でスタイルも抜群。結婚していても男性の注目の的だ。
今回も妻のある男性・パトリックと深い仲になり、この島でも逢引きを楽しんでいた。
そんな彼女が、ある朝ポアロに
こう言い残し、ボートを漕ぎ出かけていった。
きっとパトリックと逢引きだろうと、いぶかしんだポアロ。
だがなぜか、逢引き相手のパトリックは、ホテルでアリーナを探している・・・。
不審に思うポアロ。
そのカンは当たり、アリーナはなんと、逢引き場所と思われる砂浜で、絞殺死体で見つかるのだ!
外部からの侵入は考えられず、犯人はこのホテルの中にいると思われる。
だとしたら誰が?
複雑な人間模様と、アリバイ、わずかな証拠品からポアロが推理に挑む。
アガサクリスティ(ポアロ)「白昼の悪魔」感想
これは面白い。
今回の「白昼の悪魔」は、恋愛ベースであってもガチガチのトリックものだ。
物語の初めから始まる、伏線に継ぐ伏線。
容疑者たちの、何気ない会話に含まれる重要な証言。
後半戦で出てくる、過去の犯罪・・・・。
どれもこれも、真相解明のためには見逃すことはできない。
とはいえ複雑なので、ポイントをいくつか書いていこう。
「白昼の悪魔」読みこなしポイント1 殺害があったときの主要人物の時系列
「白昼の悪魔」では、アリーナが殺された日の、宿泊客の午前中の動きが重要だ。
特に重要なのが、この人たちの動き。
- ケネス・マーシャル(アリーナの夫)
- リンダ・マーシャル(ケネスの娘・アリーナの継子)
- ロザモンド・ダーンリー(ケネスの幼馴染でケネスが好き)
アリーナの死体が見つかるまでの行動を表にしてみよう。
ケネス・マーシャル | リンダ・マーシャル(クリスチン) | ロザモンド | |
8時~ | 出かける(買い物) | ||
9時~ | 食堂で朝食 | クリスチンからスケッチの誘い | リンダと会い、今日はサニーレッジに出かけると言う |
10時~ | (妻のアリーナ出かける) ・海で泳ぎ10:40頃帰る ・10:50 ホテルの部屋に入る |
10:30 クリスチンとガル島へスケッチに出かける |
10:25 出かける |
11時~ | 手紙をタイプで打つ (タイプの音は何人かが聞く) |
11:45 クリスチンと別れて海で泳ぐ (クリスチンはその後テニスへ) |
11:15 サングラスを取りに戻る(ケネスのタイプの音を聞く)11:50 ホテルに戻る |
12時~ | ロザモンド、ガードナー、クリスチンらとテニス | ケネスらとテニスに行く | |
13時~ | 事件に気づく | 13:00 ホテルに戻り、事件を聞く |
枠は作らなかったが、リンダと一緒にいたクリスチンの動きも実は重要。
この時系列をよーく押さえておくことが、物語の後半大事になってくるで!
「白昼の悪魔」読みこなしポイント2 証言
白昼の悪魔は、文章のすみずみにまで重要な伏線が張ってある。
第1章の何気ない会話
第1章は、最初から最後まで、宿泊客とポアロの世間話だ。
でも後から読み返してみると、謎解きに重要なことをかなり言ってる。
などとつい思いがちだが、ここはぜひしっかり読んでおこう。
でも前半の長ーい話に、ヒントたくさんあったよな?それと同じやで。
メイドの証言
バスを使う音が聞こえました。
メイドのこの証言が極めて重要。
ポアロが謎解きをしたときに、真昼にお風呂に入った人間が、犯人だということが解るからだ。
問題は「なぜ犯人は、お風呂に入る必要があったのか」
これをよーく覚えて「証拠品探し」につなげていきたい。
「白昼の悪魔」読みこなしポイント3 数少ない証拠品
物語の中盤、殺人現場の砂浜でこのようなものが見つかる
はさみ クラッカーの秋箱 瓶の王冠5個 マッチの燃えさしが複数 糸切れ3本
新聞紙の切れ端 折れたタイプの破片 ボタン4個 チキンのモモ骨1本
サン・タン・オイルの瓶
砂浜だからごみも多いが、ここに超重要なものが2つある。
最後の最後で、決め手になるものがあるので、これもメモっておこう。
アリーナに書かれた第三者の手紙も出てくるが、これも大事だから内容をよく覚えておこう。
「白昼の悪魔」読みこなしポイント4 犯罪の動機
読んでいくにつれ、アリーナが殺された原因が、4つあると思われるようになってくる。
殺人原因1 痴情のもつれ
言わずとしれた、複雑な男女関係が原因。
今回の場合は「ダブル不倫」になるから、濃い容疑者は2人になってくる。
殺人原因2 麻薬が原因
後半で麻薬が出てくる。
見つかった場所が逢引きの場所だったので、受け渡しの現場を見たせいで殺されたのでは?
殺人原因3 継子によるもの
リンダ(継子)とアリーナ(継母)の間柄は全くうまくいっていなかった。
ではリンダが?と思われるが、ちょっと無理もある。
殺人原因4 狂人の手によるもの
物語を読んでいくと判明するが、宿泊者の中に精神異常で入院経験のある人がいた。
そしてその人間は、アリーナのような女性をかなり憎む傾向があった・・・。
1~4まで、どれも納得の原因。
でもどこかに的を絞って考えていくと、誰かにアリバイがあったりで、なかなかうまくいかない。
アガサクリスティ(ポアロ)「白昼の悪魔」まとめ
ネコ缶評価
ものすごくよく出来た話だ。
ただちょっと複雑なので、マニアの人でないと難しいかも。
読む際にメモは必須だが、ここに書いた以外で、最大のポイントはこれ。
男女を入れ替えて考えてみること
あまり詳しくは言えないが、ポアロもこれをしたことで解決できた。
追う、追われるを逆にして考えるってことやで!
本で床が抜けそうになっている方・人に見られたくない本が欲しい方はこちら!⇒読書好きを救うもの!それは「キンドルペーパーホワイト」
[…] 「ナイルに死す」詳しくはこちらから 「白昼の悪魔」詳しくはこちらから […]