元気で冒険好きな若い女性が、探偵のような役割をするミステリーはよくある。
もちろんアガサクリスティの中でもいるで。
「ゴルフ場殺人事件」のシンデレラとか。
「なぜエヴァンスに頼まない?」のフランキーとかな!
今回ご紹介する本も、そんな冒険好きな若い女の子が、恋に冒険に謎解きに活躍するミステリーだ。
それは「茶色の服の男」!
「ポアロ」も「ミス・マープル」も出てこない、クリスティのシリーズ第1号、詳しくみていこうか!
Contents
アガサクリスティ「茶色の服の男」 あらすじ
アンは、考古学者の父親を亡くしたばかり。
お金もないが、落ち込みもせず気丈にくらしていた。
ある日アンは、ロンドンの地下鉄で奇妙な事件を見る。
外国人の男が、何かに驚いて転落死。
それを検視した、通りすがりの自称「医者」が暗号らしきメモを拾い、その後行方不明になるのだ・・・。
そこからアンの冒険は始まるのや
その後、ミル・ハウスという家で、若い女性が殺されるという事件が発生。
地下鉄で死んだ男とは関係ないと思うが、その男はなんと、ミル・ハウスへの紹介状を持っていたのだ。
この2つの事件はつながっているのか?
ミル・ハウスに、若い女性の直後に入った「茶色の服の男」は何者なのか?
好奇心旺盛なアンは、この事件を調べることを決心。
暗号に書いてあった、南アフリカ行きの船「キルモーデン・キャッスル」に飛び乗る。
その後、単純に思えた事件は、大きな犯罪組織と過去に起こったダイヤモンドに関する事件が、背後に隠れていることが次第に判明。
事件を嗅ぎまわるアンも、何度か命を狙われることに・・・。
アンはこの事件を解決できるのか?
そして冒険の最中に恋に落ちたアン。恋の行方はどうなる?
アガサクリスティ「茶色の服の男」感想
「茶色の服の男」は大きく「アンの冒険&恋物語」と「謎解き」に分かれる。
ごった煮のような感があるので、分けてみていこう。
「茶色の服の男」 アンの冒険&恋愛譚
アンはものおじしない、思い立ったらすぐ行動する元気で冒険好きな女の子だ。
今この目の前にある、この船の事だわ!
・・・と気づいた瞬間、その船に飛び乗るくらいだ。
全財産は87ポンドしかない。
ハッキリ言って船賃しかないが、飛び乗ってしまうのだ。
そこからアンの冒険、そして本当の人生が始まる。
持ち前の勇気と行動力で、何度か危ない目にもあうが、無事にくぐりぬける。
そして念願の、事件担当の記者という地位まで手にするのだ。
しかもアンはこの冒険で、ちゃっかり恋もするんや。
持ち前の行動力と素直さで、その男性に近づき、見事射止めてしまうのも「あっぱれ」の一言。
謎解きも奥が深くて面白いが、このアンの成長と冒険物語を読んでいくのも面白いで!
「茶色の服の男」 謎解き部門
では次に謎ときもみていこう。
まずは構成からな!
「茶色の服の男」はメンクリタイプのミステリー
ネコ缶は、場面がちょいちょい変わっていくミステリーを「メンクリ型ミステリー」と呼んでいる。
ゲームでよくいう「●面をクリアーした」みたいな言いかたの略やで
「茶色の服の男」もこのタイプ
この物語は、場面がこの5つにバンバン変わっていく。
普通の文章もあるが、やはり会話が多く、「手記」というページもあるのでちょっとややこしい。
船を降りてから、謎が一気に深まり、そして伏線が回収されていくで!
「茶色の服の男」の登場人物は、しっかり把握
クリスティのミステリーにしては、登場人物は少なめ。
でもやっぱり全員怪しい。
エピソードも交えて紹介しておくので、しっかり把握しとこう
「容疑者として考えられる主な人」だけ書いとくな!
モテモテやな~。
謎は「犯罪を牛耳る大佐」とはいったい誰の事なのか?ということがメイン。
クリスティのミスリードもあるが、ものすごく意外な人物やで!
アガサクリスティ「茶色の服の男」まとめ
ネコ缶評価
つかみはOK。
孤児になってしまっても、めげないアンのエピソードや、謎の茶色い服を着た男の登場、そして怪しげなメモ・・・。
面白くなりそうなエピソードが、たくさんちりばめられていたのだが、残念ながらちょっとごちゃごちゃしていた。
「茶色の服の男」が出版されたのは1924年。
この作品はまだクリスティ4作目という事なのも、大きいのだろう。
ごちゃごちゃしてはいるものの、設定はさすが。
クリスティ得意の「聞きなれない、専門的な薬品」もしっかり登場していた。
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